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分籍って何?毒親育ちの子供とってローリスク・ハイリターンな制度の理由

この記事を書いた人
佐藤みなと
おかたづけ便 代表/片付けアドバイザー。1984年生まれ、O型。
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自分の親が毒親だとわかっても、自分が我慢すればすべて解決すると思って、本音を隠してしまいますよね。言えない本音が積み重なって、苦しくなってしまう状況を解決できる方法があります。今回は、あまりなじみのない分籍について、毒親育ちの子供にとってローリスク・ハイリターンな制度の理由をご紹介します。

戸籍とは?分籍とは?

戸籍は、「戸」と呼ばれる家族単位で、国民を登録する公文書です。誰があなたの家族で、誰があなたの血縁関係で、その家族や血縁関係の中であなたがどのような立場であるのかを記しています。

 

分籍はその戸籍を分けることです。現在登録している戸籍から自分の戸籍だけを抜いて、自分ひとりの、単独の戸籍をつくることです。

分籍の手続き方法

分籍の手続きを行うためには、お住まいの市役所や区役所、もしくは公的機関と同様のサービスを提供する市民センターなどへ行き、分籍届を提出します。分籍届を提出するためには以下の点を満たしていることが条件となります。

 

<届出人>

  • 筆頭者及び配偶者を除く、戸籍に記載されている成年の方(未成年は不可)

 

<必要書類>

  • 分籍届 1通
  • 戸籍全部事項証明書(戸籍謄本) 1通
  • 届出人の印鑑(認印で可)
分籍後の本籍を自分で決めることができる

分籍後、戸籍に記載する本籍は、日本国内で、かつ届出を提出する時点で存在する地番であれば、どこの場所でも本籍地として登録することができます。手続きを行う時間を時短させるのであれば、手続きを行う前にあらかじめ決めておくとスムーズです。

 

分籍のタイミングはある程度決まっている

とはいえ、分籍のタイミングはある程度決まっています。そのタイミングは、「結婚をするとき」、「離婚をして、元の戸籍に戻らないとき」「戸籍登録地から遠方に引っ越しをする場合」の3つのうちのどれかに当てはまる場合です。分籍をするキッカケとしては、ライフステージの変化が影響すると言えそうです。

結婚をする場合

2019年時点で、夫婦別姓や夫が妻の姓を名乗ることはまだ浸透していません。妻が夫の姓を名乗ることがまだ主流なので、結婚を機に、妻が元々登録をしていた戸籍から分籍をして、夫の戸籍に入ることが多いからです。

離婚をする場合

離婚をした場合、妻は元々登録をしていた戸籍に戻るのか、それとも元々登録をしていた戸籍には戻らず、分籍をして自分ひとりの単独の戸籍を取得するのか、どちらかを選択することができます。後者を選択した場合は、手続き上、必然的に分籍をすることとなるからです。

戸籍登録地から遠方に引っ越しをする場合

戸籍を取得する場合、戸籍を登録している市区町村の役所で直接手続きをして取りに行くか、郵送で申請を行って取り付けるのか、どちらかとなります。郵送で取り付けるためにはある程度の手間も時間もかかるので、引っ越しをするタイミングで戸籍を分籍する場合もあります。

 

ただし、戸籍は頻繁に取り付けるものではないし、急いで必要となる場合も特にないので、引っ越しのタイミングで分籍をしなければならない......というわけではありません。

 もちろん、みずからの意思で分籍の手続きを行うことも可能です。

 

しかし、総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」、法務省「戸籍統計」、平成27年国税調査結果に基づく分籍結果によれば、2016年に分籍を行った人は約1.6万人。同年に住民票を移した人は約741.7万人、戸籍を転籍した人は約37.6万人。この数字上で、分籍を行う人が極端に少ないです。さらに、分籍をするのは上記に挙げた3つのタイミングが大半だと推測されるため、みずからの意思で分籍の手続きを行うことはレアケースと言えるのです。

分籍をしても、法的なメリットもデメリットもない

分籍を行う人が極端に少ないことには理由があります。なぜなら、分籍をしても、法的なメリットもデメリットもなく、あなたの暮らしにも人生にも何も影響がないからです。

分籍によって、家族関係や血縁関係は変わらない

分籍によってできることは、家族と戸籍を分けることだけです。戸籍をたどることで家族関係や血縁関係を確認することができるので、誰があなたの家族で、誰があなたの血縁関係で、その家族や血縁関係の中であなたがどのような立場であるのかは変えることができません。

戸籍を取得する機会はめったにない

戸籍が必要になるときは、結婚か離婚、もしくはパスポートを取得するときしかありません。結婚や離婚を短期間で繰り返さない限りは、戸籍を取得する機会は数年に1回あるかないかです。

 

また、戸籍を取得したとしても、記載されている内容を細かく見るのは役所の担当者だけです。分籍によって、役所の担当者が「家庭環境に問題があるのかもしれない」、「(分籍を行った本人に)何かしら問題があるのかもしれない」と感じるかもしれません。ですが、役所の担当者と二度会うことはほとんどありませんし、役所の担当者がどう感じたとしても、特に影響はありません。

そのため、分籍を行えるタイミングがあったとしても、分籍をしなければならないことではありません。しかも、分籍をするためには、役所へ行って手続きをしなければなりません。その労力と時間を割いてまで、あえて分籍を行うものでもないような印象もあります。

毒親育ちの子供にとってはローリスク・ハイリターンな制度の理由

一見して、分籍の制度上はメリットもデメリットもありませんが、毒親育ちの子供にとっては、毒親との関係を断つ・距離を置く第一歩としてローリスク・ハイリターンな制度なのです。

戸籍を取得するときに毒親の氏名を見ずに済む

結婚も離婚も、パスポートの取得も経験する可能性がないわけではないので、戸籍を取得する機会がない......というわけではありません。

 

戸籍を取得した際に、内容を細かく見ることはないかもしれませんが、親の名前は用紙の上半分、受け取ったときに目に入りやすい位置に記載されています。嫌でも見ることの方が多いのです。そのため、毒親の氏名を見るだけで感情が揺さぶられたり不快に感じたりしている場合は、このような苦痛を和らげることができるのです。

 

元の戸籍に戻らなくても良い

自分から進んで分籍を行った場合、分籍後に元の戸籍に戻ることはできません。そのため、実際に分籍の手続きを行うときに役所の担当者から念押しをされます。

 

当然のことながら、毒親育ちの子供も人の子供です。毒親だとしても家族は家族であるし、できる範囲で大切にしようとはするでしょう。しかも、毒親の影響で世間体を異常に気にする傾向が強いので、毒親育ちの子供にとって分籍は一大決心です。その原動力は、毒親からの暴言や暴力、精神的な圧力などからの解放です。元の戸籍に戻りたいと思う可能性は限りなくゼロに近いでしょう。

 

手続きをするのにローリスク

毒親も戸籍を取得することができるので、毒親育ちの子供が分籍を行ったことを知る可能性はゼロではありません。

 

しかし、自分が30~40代であれば、毒親は60代以降。2016年の厚生労働省「婚姻に関する統計」によれば、熟年結婚の割合は約20%、熟年離婚の割合は離婚全体の約17%。2019年の「旅券統計」によれば、60代以降のパスポート取得率は全体の10%。個人差はあるとはいえ、戸籍を取得をする可能性は限りなく低いので、毒親にバレる可能性も低いので、ローリスクと言えます。

精神的な負担を減らすことができる

毒親育ちの子供が「自分の親は毒親」だと気づいても、毒親から距離を置くことができないのは、

  • 親に対する恩を返さなければならない
  • 家族だから世話をしなければならない
  • 親の味方になれるのは私だけ

など、世間体を気にして、自分の本心を隠して我慢をしている場合が多いからです。確かに、自分が我慢して物事が丸く収まるという考え方はありますが、だからと言って、我慢して人生に後悔をするかもしれない状況が良いわけではありません。毒親と関わらなければならない状況だとしても、精神的な負担を減らすことができます。

毒親育ちの子供にとって、分籍は有効な防衛手段のひとつ

分籍は公的な手続きとはいえ、法的な効力はありません。手続きをするための時間と手間がかかるだけで、面倒に感じるかもしれません。

 

けれど、毒親育ちの子供がは、幼い頃から毒親の毒によって人間関係や思考をこじらせがちです。できるだけ毒親から距離を置いて、こじらせている物事を解消する時間が必要です。

 

最短で毒親の毒を解毒する方法は、居住地を変えたり連絡の頻度を減らしたりするなど。それがかなわない場合には、毒親に見えない形で精神的な安定を図る必要があります。そういった意味で、分籍は毒親育ちの子供が毒親から逃れるための有効な手段と言えるのです。

 

いかがでしたでしょうか?今回は、分籍の制度について、毒親育ちの子供にとってのメリット・デメリットについてご紹介しました。これで毒親の毒から身を守るための対策をすることができます。ぜひ参考にしてみてくださいね。